塩は私たちの体を作っている
塩をとらないとどうなるか
新陳代謝が衰える
食欲減退
筋肉が弱る
心臓が弱る
腎臓が弱る
人間がダメになる
人間の体に含まれている塩の量
『塩屋さんが書いた塩の本』

松本永光 著

●塩は私たちの体を作っている
最近は砂糖も塩も、健康の敵として嫌われてしいます。
しかし、砂糖はなくても生きていけますが、塩はそういうわけにはいきません。
江戸時代の飢饉のときに、塩があればまだ助かったというエピソードがあります。
だいたい、私たちの体そのものが、塩漬けのようなものなのです。
そこから塩を抜いてしまえぱ、生きていけないのは当然のことです。
私たちの体に塩分が必要なのは、また血液をなめてみてしよっばいことでもわかります。
体液そのものが塩水でできているのです。
そしてその成分は、太古からの海水組成に非常に類似しているというのはよく知られています。
また、体液だけではありません。
人間の体には約85グラムの塩が含まれているといわれますが、そのうちの半分は骨に含まれているのです。

動物の血液は母なる海の水からできあがったごとく、よく以ています。
地球上の生命はまず海に誕生したといわれますが、
そのときの単細胞のような原始的な生物の内容物はほとんどが海水でした
やががて進化を統けた原始生物たちのなかには、陸に上がることを選ぶ種も出てきました。
その種は、陸ヘ上ががるときにも体内の海水のような成分をもってきたというわけです。
以来、何十億年もの年月を経て人類が誕生し、今日にいたるわけですが、
依然として陸上の生物にとつてはこの海水の成分がが欠かせない重要な要素となっています。
このとても長い生命の歴史にそむいて、塩をとらずに生きることなど私たちにできるわけがかないのです。
これをよく表しているのが、リンゲル液という医薬品でしょう。
塩は点滴に使われるリンゲル液の原料にもなります。
リンゲル液は代用血液、生理食塩水などとも呼ぱれるもので、
1リットルに塩化ナトリウム0.86グラム、塩化カリウム0.30グラム、塩化カルシウム0.33グラムが含まれています。
水分の補給には、この液体がいちばん良いのです。
また、出血多量で輸血がか必要なとき、
体内の毒素を薄めて排泄させたいとき、
重病で食事がができないときなど、
この液体はなくてはならないものなのです。
では、このナトリウムは、体内でどういうはたらきをしているのでしょうか。
塩は、体内でナトリウムイオンに分解されて、いわば情報メディアのようなはたらきをしています。
たとえば頭で考えたことを筋肉に伝えるとき、その情報を運んでくれるのがナトリウムイオンということです。
筋肉が動くメカニズムでも、重要な役割を果たしています。
また、唾液、胃液、腸液などの消化液は、1日に約8リットルも分泌されていますが、これにも塩分がが必要です。
血液を浄化して、その大切な部分は再吸収するという腎臓のはたらきも、ナトリウムなどのイオンが活躍します。
あるいは、糖分やタンパク質を腸から吸収するときにも、ナトリウムはなくてはならない成分です。
●塩をとらないとどうなるか
これだけ大切な役割を果たしている塩をとらないで生活しようとすると、どういうことが起こるのかを考えてみましょう。

新陳代謝が衰える 若さとは、新陳代謝が活発であるということです。小学生などは、多少けががをしても、
みるみる傷口は治ってしまいます。
外科手術の前後には、充分な塩分をとらせないと、傷口の回復がが遅くなるそうです。
また、美容面でもいいことはありません。古い細胞にとってかわるスピードが遅いから、
肌もカサカサになってみずみずしさを失ってしまうでしょう。
成長期だったら、さらにいろいろな障害がが出てきます。
食欲減退 消化能力が落ちるうえ、美味しさを感じにくいので、食欲が落ちます。
体力も衰えていくでしょう。
吐き気、嘔吐、むかつき、下痢、便秘など、さまざまな胃鵬の症状も起こりす。
肉体労働の仕事につく人は、夏場などは汗によって、1日に30〜40グラムもの塩分を失うそうです。
そういうときに、「血圧が高いから:::」などと塩分を制限すると、
食欲が落ち、体力がが落ちて、思わぬ大病につながったりしかねません。
デスクワークのサラリーマンにしても、減塩を心がかけている一方で、
毎日がデスクワークだからとジムに通い、
のどがが渇いたからスポーツドリンクという名の実は塩分の入ったものを飲んでいます。
スポーツドリンクは、水分の補給と同時に塩分の補給に役立っているのです。
筋肉が弱る 体内に塩分が足りなくなると、筋肉は「塩が足りないぞ!」とぱかりに縮んで堅くなってしまいます。
このとき、筋肉のいろいろな組織は、縮んだ筋肉の中の狭い所に閉じ込められ、
仮死状態にまでなってしまうのだそうです。
筋肉の反応が鈍くなるので素早い動きがができなくなり、また足腰も弱ります。
スポーツ中に急性の筋肉痛が起こったり、けいれんを起こしたりしたとき、
塩水を少しずつ飲むだけで治ることが少なくありません。
これは、あきらかに水分と塩分の補給が遅れた状態です。
心臓が弱る 心臓という臓器は、血液を瞬時も休むことなく規則的に送り出してし
いるのですから、塩分が不足すれぱ弱ってくるわけです。もちろん、ほかの臓器も同様です。
体の内臓は、ほとんど塩の刺激で動いていると考えてください。
その筋肉が元気ならば、心臓も脳血管も、手足も、すべて順調なのです。
塩がなけれぱ心臓は動きません。
腎臓が弱る 腎臓にとつて塩分は、そのはたらきをまっとうするために必要不可欠な成分でぁることをすでに述ベました
。塩をとらないと腎臓機能も弱まります。
体内で塩がたりなくなると、腎臓は尿のなかに出した塩分をもう一度吸収して体内に戻すのですが、
これが腎臓の過労状態になり、‐ダウンしてしまうのです。
また、尿の量が減るために、体内の老廃物の排泄ができなくもなります。
人間がダメになる そのほかにも、いろいろな症状が起こりてきます。
まず、倦怠感や脱力感です。
塩は、いわぱ元気を出すための潤滑油ですから、これが欠乏するとやる気が起こらず、
家でゴロゴロしていたくなります。
楽を選んで努力しないようになってしまい、自堕落に陥るようになります。
精神的にも受け身になって、誠実性を失ってしまいます。
水分や塩分の不足は、とくに体の小さい子供たちに起こりやすいので、
お母さん方は注意してあげてください。
カゼなどで下痢や嘔吐を起こしたら、必ず水分と塩分の補給をすることが大切です。
なお、ミネラルという意味では、子供たちには、カルシウムがいつも十分に必要です。
カルシウムは、人間の精神的な安定を促しますから、そろそろ思春期という子どもには、
牛乳はもちろん魚介類、海藻などをこまめに食べさせるように心がけると良いそうです。
減塩がすすむことによって起こる症状
おとなしくなりすぎる
暴れる囚人に塩抜きの食事を与えると、おとなしくなるそうです。このまま減塩運動がすすめば、
日本中の人が元気のないやる気のない状態になってしまいます。
戦場で戦った兵士は、常に塩袋を持っていたと言われています。
塩不足は、長い人生における自分自身との戦いに勝つこともできなくなってしまうでしょう。
アレルギーの増加
正しい塩分が血液中に含まれている中庸体質の人に、HIVは感染しません。
陰性化した血液にHIVが感染するのです。
エイズ患者に、いかに適塩が大切か分かります。
ガンや奇形の増加
東洋医学的には、大腸は皮膚、のど、鼻などと気が流れる経絡という通 路で繋がっています。
大腸が腐敗状態にあると、皮膚病、喘息、アレルギー性鼻炎、花粉症などのアレルギーが現れます。
腐敗ということは悪い菌が増えることです。たとえば漬け物を造る時に、
塩が不足した場合は、漬け物が腐ります。
これは塩不足によって悪玉 菌(腐敗菌)が殖えたためです。
同様に、私たちの食生活で塩不足になると
大腸菌がいつも腐敗状態でアレルギーになりやすい体質になることが分かります。
アレルギーの予防、改善にもまず適塩が大切なのです。
病原菌に弱くなる
塩不足の漬け物はすぐ腐るように、人間の細胞も減塩では腐りやすい体、
すなわち病原菌に犯されやすい体となる。
お風呂に入ると、汗とともに塩分が失われます。
その後に、梅しょう番茶を一杯飲んで塩分を補給しておくと湯冷めして風邪をひく心配がない、
という昔からの知恵は本当にすばらしいものであります。
ボケ、思考能力低下、痴呆症なども減塩するとなりやすいと考えられます。
体にも塩がある
成人の体は約60兆個の細胞でできていて、体重の約70%は水分です。
この水分の約3分の1が血液や胃液など(これを細胞外体液といいます)ですが、
この体液の重要な成分として塩が0.9%の濃度で含まれています。
この濃度の食塩水を生理食塩水といいます。
もしも血液がない場合にはリンゲル液として代用することができます。
また、塩は骨にも含まれていて、血液中の塩分がなくなったりすると、血液中に溶け出すこともあります。
ちなみに、体重60kgの成人の体には約200gの塩が含まれています。
そして細胞と体液間の浸透圧を調整したり、筋肉の収縮を助けたり、人間が生きていくためには必要不可欠な重要な働きをしています。
高血圧の方には悪者ですが、命もささえているのです。
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