お砂糖とお塩
有害食品の砂糖が有用食品の塩のうえにのさばっていることは、主審転倒の典型的なものである。
昔の菓子は木の実や果物(水菓子・水菓子)だったが、現在は砂糖菓子が主体になっている。
塩と砂糖の昔と今の逆転コントラストは、人間の健康という面から深く考えねばならない問題になってきた。
おいしいものを、甘い(うまい)といい、いい塩加減だというが、
うまい(あまい)という言葉は砂糖の甘さからきたものではなく、自然の食べ物のもつ甘さからきたものだろう。
塩も砂糖も白色ではあるが味は天地の差である。
砂糖と間違えて塩をなめてしまった子供時代のほろ苦い塩からい経験が思いだされる。
塩の味『鹸』砂精の味の『甘』も漢音では何れもカンであることは面白い。
ところが食養法では
生理的、医学的に塩は陽砂糖は、陰でまったく相反する性質を持っている。
一方では、塩も砂糖も細菌の発生を防止する効果がある点は、共通している。
漢方医学では、甘味と鹸味との薬効について深い意味をもたせている。
食塩は一般に海水から物理的に、砂糖は陸の植物から化学的にとっているのも妙な対照だといえる。
しかも双方とも水分を蒸発させて造る点は共通している。 
しかし砂糖は暑い地方の植物に多いが、塩は何処の海でもほぼ等しく含まれているのも妙な対照である。
額に汗して働く者は塩分を多くとり、
肉体をほとんど使わない贅沢階級が砂糖を多食するという傾向があり、酒好きに塩カラ党がつきものだ。
下戸に甘党が多いのも、生理的欲求と経済的事情が絡みあった結果によるコントラストだろう。
人工的な砂糖の甘さではない天然の甘さと、塩気との調和こそ、真の料理の長所でありコツでもある。
砂糖の功罪
砂糖の製造過程とその問題点
私たちは自然というものは総合と全体が根本であるということを知る必要がある。
とかく、人聞という生物は甘きものに集まったり、
甘言にのったり、甘えたり、甘ったるい言葉に酔つたり、甘い汁を吸いたがるものである。
どうも甘いものは罪つくりのものである。
常夏の国、反米革命で有名なカストロ首相の国、
キューバは、砂糖ツポのなかにいるような国だといわれている。
甘党にはもってこいの国、甘いものをふんだんに食べ、
コーヒーなどもドロドロになるほど砂糖を入れ、
しかもちょっとした会議には30分おきくらいにこのドロドロコーヒーが出され、
3時間も会;議が続けば、5-6杯も出きれるという。
これではさぞかし病人が多いだろうと推測されところである。
案の定、杉靖三郎氏は「長生きの国を行く」のなかで、
砂糖とタバコの産地、キューバには胃腸痛、肺結核、ガン、心臓疾患、特に精尿病が多いと書いているが、
やはり砂糖やタバコが禍しているのだろう。
キューバの病院は世界でも一流で、金に糸めをつけることなく、立派な設傭を整えているが、
ガンや心臓病で入院するのは大抵が金持iち階級だそうだ。
貧乏人は結核や伝染病にかかるものが多く死亡率も高いという。

砂糖消費の歴史
中国の古い漢方医書を見ると砂糖の利害について記載されたところはない。
砂糖というものか一般には使用されていなかった証拠といえよう。
これに対して塩は、万病によいとされている。これは適量なら閲違いないことである。
小幡弥太郎氏や森末、菊地の両氏によれば、古代の日本でまだ砂糖がなかった時代では、
甘味料として飴(日本書紀によると無水飴)を使っていた。
その他に蜂蜜、干し柿、甘茶なども用いられていた。
干し柿は、むかし、ご馳走だったし、そのむいた皮を千したものも菓子の代用品だった。
岐阜、長野、新潟県では熟し柿と大麦を炒って粉にした妙り粉と練り合わせて食ぺる風習があった。
しかし、甘味料の代表は何といっても麦芽と澱粉で造った水飴だろう。
"泣く子に飴'とか"飴をなめさせる"などといった言葉があるところをみると、
子供も大人も飴や甘いものには弱かったようである。
砂糖が日本に初めて輸入されたのは奈良朝時代(瀬川清子氏薯・食生活の歴史による)というから8世紀頃である。
森末、菊地氏、小幡氏の著書によると中国から真鑑が奈良朝時代に訪れたとき、
時の聖武天皇へ黒砂鰭を土産として持参したのが最初である。
塩は砂糖と違う
昔、砂糖が配給制で貴重品のころは親の目を盗んで砂糖をなめたものですが、
塩は配給制になっても、親の目を盗んでまで腹いっぱはい舐める子供は居ませんでした。
塩も砂糖も食べ物のエキスを総て引き出す「王水」です。
『塩』陽の極。塩は体内で造れない無機質でカロリー無し。
塩が無ければ動物は死にます。生理的要求が満たされれぱ自動的に欲しくなくなる。
塩をとると陽性になりバランスがとれ、ブレーキが効く。
良薬口に苦し(苦いもの、塩っぱいもの)→締める、縮み。
塩味がしっかり→仕事をしっかり。

『砂糖』 陰の極。砂糖は有機質、
食ベた他の澱粉質が体内で糖分に変化するから生理的には砂糖を食ベなくても死ぬことばありません。
虫歯の心配もなく、かえつて健康になります。
ケーキの砂糖が少しなら「甘み押さえてヘルシー」
だんだん増やして行って
「おいしい、もつとおいしい、ぜいたく、これ以上は甘過ぎてかなわん」と言う限界までの幅が非常に広く、
うっかり食ベ過ぎても気付かず食ベ過ぎるきらいがあり、
甘いもの、酒、タバコなど陰性のものは体に防衛反応・拒否反応が出にくいから過ぎれば突然健康を壊します。
甘いものは食ベ過ぎてもすぐには各めが出ません。
糖分は体内で余れぱ脂肪になってしまうので頭で言い聞かせてコントロールしなければいけません。
ブレーキが効きにくい。
甘い、酸つぱいもの→緩める、伸ばす→あいつは伸びて(くたばって)しまった。
病人は塩を取らないから伸びてしまう。
砂糖は食文化の担い手、文化とは、無くても生活は出来るが、
あれば情緒・生活惑が豊かになる無駄、食文化です。
体内で徴菌の大好きなのが糖分。--

1990年10〜1991年九9月 砂糖消費量 258万トン。
砂糖は水の温度が高いほどよく溶けるが、塩は水の温度には殆ど無関係に溶けます。
塩が水に溶けるのと、水なしで熱で溶ける(80℃)のとは次元が違う話です。

気をつけよう(ご用心)甘い言葉と甘いもの
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