ナトリウムポンプ
ナトリウムとカリウムのバランス
飢饉と塩
良い塩悪い塩で健康に大差がつく


ナトリウムポンプ ■健康を縫持するための塩の役割
身体を動かす力の源=ナトリウムポンプ
人の身体を動かしているのはご存じのとおり筋肉です。
脳の指令が脊髄を通り筋肉に達し、動かすべき部位の筋肉が収縮・弛緩して、腕なり足なりが動きます。
これは、誰もが知つていること。しかし、指令を受けて筋肉を実際に動かしているものはなんなのでしょうか。
その一つが、塩分に含まれるナトリウムなのです。
脳から筋肉ヘと指令が達すると、ナトリウムが筋肉の細胞に取り込まれたり押し出されたりします。
つまり、筋肉の収縮・弛緩はナトリウムが細胞内に出入りすることによって起きるわけです。
これを『ナトリウムポンプ』と言います。
ナトリウムポンプはもちろん、体内に摂り入れられるナトリウムによって機能するもの。
すなわち、塩分を摂取しなければ機能しないと言ってよいでしょう。
ですから、塩分の摂取が極端に少なくなると、ナトリウムポンプは正常に働くことができません。
心臓をはじめとするあらゆる内臓は筋肉でできていて、筋肉によって動いています。
もちろん、ものを食べるためにロを動かすのも、また食べたものを消化するために胃や腸を動かすのも筋肉です。
人が生きていくために必要なことは、すべてこの筋肉によつて営まれているのです。
ですから、筋肉を動かすナトリウムポンプは、人が生きていくために欠かせない機能と言えるでしょう。
ナトリウムポンプは筋肉だけではなく、皮膚やその他の器官などの細胞にもありますので、
ナトリウムポンプの衰えは、そのまま肌などの老化にもつながります。
身体や肌を常に生き生きと保つには、適度なナトリウム、つまり塩分を補給しておくことが大切だと言えます。
むやみな減塩も考えものなのです。
●ナトリウムとカリウムのバランス
最近、欧米でも日本食が「健康によい」と言われるようになり、日本食レストランが増えているようです。
箸を使える欧米人も珍しくはありません。
その一方、日本では食の欧米化が進んでいます。
日本での食の欧米化は、脂質の取りすぎや生活習慣病の原因などとされ、問題視されることが多いようです。
確かに欧米食は肉類が中心となり、野菜が不足しがちになります。
しかも、日本人は欧米人よりも腸が長いため、野菜を必要とする体質と言ってよいでしょう。
ビタミンやミネラルを補給するために、野菜はバランスよく、そしてたくさん食べる必要がありますが、
野菜を食べればビタミン類と同時にカリウムも多く摂取していることになります。
そこで、気をつけたいのがナトリウムとカリウムのバランスです。
人の体内では、ナトリウムとカリウムのバランスも一定に保つ必要があります。
しかし野菜には、カリウムが多く含まれています。
ですから、野菜を多く摂つた場合には、それに見合う分のナトリウムが必要であるということを忘れてはいけません。
そのバランスを整えるために、草食動物はかなりの量の塩を必要とし、
例えば、馬でl日30〜40g、牛は80g、カバはなんと500gの摂取が必要だとい言われています。
もちろん、動物ぱかりでなく人間も同じですから、野菜を食べた量にバランスする塩分が必要になります。
特に日本人の場合は、食習慣の面でも植物性の食物が主ですから、摂取カリウムは比較的多くなります。
江戸時代に多発した飢饉で、何人も死人が出たのは、食べるものがなかったということだけではないと言われています。
飢餓ゆえに野性の草や根をむさぼり食ぺたため、カリウム遇多を引き起こしたのも原因の一つとされているのです。
塩はもちろん、穀物すら摂ることができないところへ、カリウムを多く含むものばかりを摂取すると、
急速に体内のカリウム分が増加し、死に至る状況になることも考えられないわけではありません。
ですから、菜食主義の人は要注意。
野菜中心の食生活でビタミンは豊富に摂取できても、塩分の補給を怠ると大変なことになつてしまいます。
ナトリウムとカリウムのバランスには、常に注意しておく必要があるでしょう。
例えば、「こむらがえり」などは、いわば身体が発している警告ですから、
寝ているだけでこむらがえりを起こしてしまう人は、塩分が不足していないか、食生活を見直す必要があるかもしれません。
飢饉と塩
江戸時代には、各地でたくさんの飢饉がありました。
飢饉のときに死ぬ人が出るのは、食ベる物がないためぱかりではありませんでした。
何日も穀物をとらず、また塩をとらずにいるところに、山や野原の草や根をむさぼり食ベるために、
カリウム過多の中毒になってしまうことが少なくなかったとされています。
飢饉の体験から生まれた飢饉対策の書物には、塩さえ絶やさなけれぱ草や葉ばかり食ベても死ぬことばないようだ、と記されています。
塩は、草ぱかり食ベるときの毒消しになるということで、
山野を歩き回って苦行を積む僧侶修験者たちも竹筒に塩を入れていつも持つていたそうです。
スイカに塩を振つて食ベると甘味が増し美味しくなりますが、スイカがまだ珍しいころは毒消しのために塩が使われていたともいわれています。
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